【法則8】血統書を一冊用意せよ

先ほど少し触れましたが、私の馬券術では血統を割と重視します。
サラブレッドの血統というものはなかなか奥が深いものですので、一冊で良いですから、しっかりとした参考書を用意しておく必要があります。
なかなか、覚えられるものではありませんから。
どの本にしなければならないということはないです。
書店で、ご自分のフィーリンングに合ったものを探して下さい。

参考までに私は「田端到、加藤栄の種牡馬辞典」(東邦出版)という本を利用しています。

血統書というものは、毎年決まった時期にリニューアルされますので、常に最新のものを準備しておくようにして下さい。
血統にも流行り廃りがありますので、古い血統書はあまり意味がありません。

一つ注意点があります。

予想に血統を使用するのは、私の馬券術の基本戦略ですが、下位条件のレースではあまり当てはまりませんので、少なくとも準メイン以上、出来れば重賞に限っての使用をお願いします。

早い話が、例えば未勝利戦であれば、何が来てもおかしくないということです。

ダート500万下の競争に、血統など、関係ないと思って頂いて構いません。

ですが、重賞ともなると話は違います。
特に血統が重要となるのは、

などでしょう。

古馬のレースでは、予想に血統が占める割合は、少し小さくなります。

具体例を出しましょう。

グランプリボスという馬がいます。

マイルのG1を2つ勝ち、安田記念でも2着に好走している強豪です。
しかし、これがなんとサクラバクシンオー産駒。

ご存知ない方もいらっしゃるかも知れませんので補足しますが、サクラバクシンオーとはスプリンターズSを二度制した、日本競馬史上に残る快速スプリンターです。

成績が偏っているのが特徴で、1200mでは8戦7勝。1400mでは4戦4勝。ところが1600m以上では9戦0勝です。

実にわかり易い短距離走者ですよね。

当然、産駒も短距離レースで活躍する馬ばかり。
カノヤザクラ、ダッシャーゴーゴー、ショウナンカンプ、サンダルフォン、スギノエンデバー、エーシンホワイティ、ヘッドライナー。
どれもこれも、1200mで活躍する馬ばかりですね。

ところがグランプリボスは、マイル戦を得意としているのです。

これは、血統からはわかりません。

朝日フューチャリティを勝った時は2歳ですから、当然血統からは買える馬ではなく、私もこのマイルのレースを落としました。

しかし、毎回レースを見て行くうちに、
「この馬は、サクラバクシンオー産駒という枠組みの中で考えない方がいい」
という事に気がついていくわけです。

こういう生きたデータが溜まった状態で勝負出来るのが、古馬重賞のいいところです。
データが少ないため、ある程度血統で判断するしかないクラシックなどとは、根本的に考え方を変えた方が、馬券に直結します。

2013年の読売マイラーズCの単勝930円は、おいしかったですね。

2歳戦、3歳戦では、こうはいきません。

繰り返しになりますが、データが少ない為に、血統に頼らざるを得ない部分が多いからです。
もちろん、血統だけが全てではありません。
血統からは考えにくい好走をする馬(グランプリボスのように)だって、いくらでもいます。

ですが、まずは基本を抑えた上で、応用を考えるようにしないと、競馬力は向上しません。ここでいう基本とは、代表的な種牡馬の特徴を頭に叩き込む、ということです。

血統書を紐解くと、それこそ数百頭にも及ぶ種牡馬のデータが出て来ます。
それを全て記憶せよ、とまでは言いませんが、少なくとも大レースに出てくる種牡馬の特徴くらいは言えるようになっていて欲しいですね。
もちろん最初からそれは無理ですし、流行り廃りはありますから、最新の血統書を手元に置いておくことは、とても重要なことです。

血統が全てではありませんが、抑えておくべき基本は存在します。

例えば、牝馬として64年ぶりにダービーを制したウォッカ。

この馬を歴代最強牝馬に挙げる声も少なくありませんし、事実、私も相当に強い馬であると認めます。

ですが、ウォッカの良績って、東京に偏っているという事はご存知ですか?
ダービー、天皇賞秋、ジャパンカップなど、府中では鬼の様な強さを見せますが、他の競馬場ではそうでもありません。

実はこれ、父タニノギムレットの特徴そのままなんです。

ウォッカのライバルとして時代を駆け抜けたダイワスカーレットの父は、アグネスタキオン。
足元にもろさがある馬が多いという欠点はありますが、若い時期を中心に、割とどこのコースでも良績を残します。

東京と新潟に実績が集中しているタニノギムレットとは、対照的な種牡馬です。

ウォッカとダイワスカーレット。

ライバル同士と言われたこの2頭は、ウォッカの方が勝ち方こそ派手ですが、万能性という意味ではダイワスカーレットに軍配が上がります。

何が言いたいのかというと、血統を丸ごと無視して重賞を取ろうとするのは、とてもナンセンスだという事です。

基本はウォッカ。グランプリボスは、あくまでも応用、と覚えて下さい。

基本から生まれる応用はありますが、応用から生まれる基本はありません。

皐月賞でタニノギムレット産駒にぶち込むとか、G1レースを、8歳馬のアグネスタキオン産駒で勝負するとか。

そういう事をやっている間は、競馬には強くなれませんよ。


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