「必殺仕事人」は池波正太郎原作の時代小説「仕掛人・藤枝梅安」をドラマ化した「必殺仕掛人」から始まるシリーズ第15弾目の作品。前作『翔べ! 必殺うらごろし』が、オカルトに主軸を置いた内容から、視聴率が大きく低迷し、必殺シリーズの終了も噂される中で、必殺の顔・中村主水を主役とし、タイトルも『必殺仕掛人』を意識したネーミングを採用し、まさに王道といえる作品として制作された。
出演者にまつわるハプニングが多く、そのたびに内容の軌道変更を余儀なくされたが、逆にこのことが、ある種のキワモノ扱いされていた必殺シリーズを老若男女を問わず楽しめる時代劇として、認知させたとも言える。結果、この番組のタイトルがそのまま「必殺シリーズ」の代名詞とされる場合が多く、その後の必殺ブームを巻き起こす起爆剤となった。
しかし、シリーズ終了作品である「必殺仕事人・激突」まで全9作の間にはさまざまな紆余曲折が見られた。大物を起用していたにもかかわらず体調不良で途中降板が相次いだり、「必殺仕事人・旋風編」では個性的なキャラクターをもってしても物語が進展せずに14話で放送が打ち切られたりと順風満帆とは行かなかった。
以降はスペシャルで何度か放送され、2007年には15年ぶりにスペシャルドラマとして帰ってくる。中村主水にはおなじみの藤田まこと、さらに東山紀之、松岡昌宏、大倉忠義(関ジャニ∞)などジャニーズ事務所の人気タレントを迎えて、大きな話題を呼んでいる。
仕事人第一作は、すでに闇家業から足を洗っていた藤田まこと演じる中村主水が、江戸の裏家業の元締・鹿蔵の思惑によって仕事人グループに加わるところから始まる。飾り職の秀(三田村邦彦)、三味線屋勇次(中条きよし)らの仲間とともに、恨みを晴らせぬ弱者にかわり、悪人を次々と闇に葬っていく。
各シリーズごとにチームは解散することとなるが、『必殺仕事人IV』最終回では、秀の殺しの現場を一人の少女が目撃し、彼の手配書が江戸中に出回る事態が発生。中村主水は仕事人チームの解散を決定する。秀は養女のお民(林佳子)とともに夕日の海に漕ぎ出し、加代(鮎川いずみ)とおりく(山田五十鈴)も江戸を離れた。西順之助(ひかる一平)は本格的に蘭学を目指すため長崎へ。主水と勇次は江戸に残り、勇次は新たな仲間と裏稼業(『必殺仕切人』)を継続していく。
それから1年たったある日。ある一家の恨みを晴らすため、主水、加代、順之助、おりく、そこに容姿端麗な組紐屋の竜(京本政樹)、血気盛んな花屋の政(村上弘明)の2人が加わり、新生仕事人チームが誕生する。