現在主流のCR機登場までは、パチンコの大当たり勝敗は、ほとんどが釘の調整や台の傾きによって左右されていました。パチンコに勝つためには釘読みや、店の釘調整の癖の読み取りの研究がかかせませんでした。その時代は、ホールの店長や釘師が閉店時間や休店日に釘の調整で活躍し、ベテラン店長の手腕が店の人気と売り上げを左右しました。勝つためには、常にその店に出入りし、店員と顔なじみになり情報を得たり、釘読みをすることが必要で、それで生計を立てているパチプロも多く存在した時代もありました。
この頃に主流をなした攻略法としては、釘読みと「ボーダー理論」でした。つまり、釘が良くて、回る台が勝てる台ということで、誰が考えても理にかなったものでした。
しかし、コンピューターの基盤が採用され始めた2006年あたりから、釘師は姿を消し、コンピュータがホールの経営や大当たりの管理をするようになり、めんどうな釘調整や台の設定の負担が軽減し、年中ほぼ無休の店も現れ、大型チェーン店が出現するようになりました。
コンピューターが大当たりの管理をするため、客は釘など全く読めなくても、また、毎日ホールに通って店や台の癖をつかんだり、店長と仲良くならなくても、勝てるようになり、素人や女性もパチンコ店に出入りする時代になってきました。
この頃から、登場したのが、コンピューターの癖を読み取る、いわゆる「ホルコンオカルト攻略」でした。この時期に現れた初期のCR機は、まだCPU(計算能力)も低く、プログラムも単純で、バグ(コンピューターのプログラムミス)が発覚し、それが、まれに攻略法として流出する場合もありました。また、この頃のパチンコの大当たりの確率は、台の裏にある設定スイッチで決まり、また、電圧の変動に左右されるものもあり、攻略につながる場合もありました。
現在では、さらにコンピューターの急速な発達に伴い、より複雑なコンピューターによる確率のコントロ-ルにより、店は、設定どおりの確率で安定した経営が可能になってきています。ホールでは、いまでもイベント日などには、数台の釘を甘くしたり、年末年始の盛況日には釘を閉めたりの調整はしますが、では、どの台が今日爆発するのかは、店長でさえ判らないのが現状です。そのため、大当たりを意図的に管理できる機能を持つ違法な「裏ロム」をやむなく導入するケースも後を絶たないのが現状です。
現在、パチンコの大当たりを外部から誘発したり、電圧に負荷をかけて強制的に大当たりをさせる攻略は、ほぼ不可能になりました。CPUも8ピットから16ピットに移行しり、瞬時に多量の計算したり、記憶する能力を持つようになり、重要回路には、高性能雑音防止コンデンサー、電波遮断機、電圧安定装置も取り入れられた現状では、打ち出しストップボタンやプッシュボタンなどによる外部から負荷を与える攻略は、ほぼ出来なくなりました。パチンコで勝つためには、ホールや機器のコンピューターのプログラムを解析し、それに合わせた立ち回りをする以外には困難になっていると考えられます。
今でも、「ボーダー理論信者」は、CR機以前と同様に、パチンコはすべて300〜400分の1の完全確率で当たると信じ、大連チャンや大ハマリも確率の偶然とみなし、「オカルト」や「出目読み」を卑下する傾向があります。しかし、CR機登場の頃から、確率だけに頼る「ボーダー理論」や、一定期間の周期の読み取り法(波理論等)では、勝てないプロも多くなり、パチプロは激減しました。それでも現在もパチプロがいることは、皆様もご承知のことと思います。コンピューターの癖を読み取る、いわゆるホルコンを活用したパチスロです。そのプロの行動に共通するのが、いわゆる「ハイエナ」と「台の休憩」です。台の調子が悪くなった場合は、プロは、けっしてムダ玉を打ったりはせず、ホールをうろついたり、他人の台を観察したりする光景を皆さんは、よく目にされていませんか。また、これは!と思う空き台に移り、すぐに大当たりを引いている姿もよく見かけます。そして、今日は不調だと判断すると「負けないことも、勝つ方法」とすぐに切り上げ、大金をつぎ込むことはけっしてしません。プロはこれらの理にかなった方法を、長年の経験と勘に基づいて自然に身に付けているのです。
今のCR機が、もし、大当たりの偏かたよりがなく、確率どおりに当たり、そして確率どおりに負けるだけであれば、ファンは、去ってしまいます。ある程度の大当たりの偏りがないと、フアンから見放されてしまうのです。新聞やマスコミで「パチンコに攻略法はありません」と報道されていますが、一方、テレビの特集でのパチンコメーカーの社員の「パチンコ機は、出荷する時点で大当たりが偏るように作られている。」といった言葉に、その真意も読み取れます。
また、いくら、機械を精密に作っても、どうしてもコンピューターの癖はでてしまうもので、毎日打っている勘の鋭いプロには、それが分かってしまうこともあるのです。
しかし、どんなに精巧な機械やプログラムでも、製作者の意図しない癖や、偏りは必ずありますので、オカルトのすべてを否定は出来ないわけです。
ホルコンとはホールコンピューターの略語で、メインコンピューター、島コンピューターとも呼ばれていて、ホールにあるパチンコ台や玉貸機、ジェットカウンター(玉計測機)、景品交換機等のパチンコ玉の動きのある機器すべてにLANケーブルで繋がっていています。
(玉計数:アウト/セーフ玉数:カード売上/現金売上:確率変動、大当たり回数:デジタル回転数等の台の情報や、台枠開、ガラス開閉等の不正情報の管理)
現在、特許庁でもこのホルコン(ホールコンピューター)によるパチンコホール管理システムが通過し、全国の大型店、チェーン店は、早くから導入されています。また、2006年以降にホールの電気系統の工事を行ったホールや新装開店のホールにはすでに導入されていると思ってよいでしょう。ホルコンは、店の経営を左右する大当たりの設定が出来ることも特許の内容に記述されています。
それでは、このホルコンによる大当たりの仕組みはどうなっているのでしょうか?その仕組みを下図で解説します。
パチンコ機器の基盤には、主基盤と副基盤があります。主基盤は、スタートチャッカーに入った玉をセンサーにより感知し、大当たりの乱数の取得を行います。それに対して副基盤は、主基盤から送られてくる乱数を大当たりかどうか決定し、いろいろな出目やリーチアクション、当たり表示、ラウンド中の演出等を抽選して液晶画面に表示します。現在の法規では、主基盤から副基盤へ信号を一方通行で送ることは出来ても、反対に副基盤から主基盤への信号の送信はできません。
それでは副基盤は、ホルコンからの信号で、どのように大当たりを決定したり、リーチや選出を誘発さるのでしょうか。その一例を右の図で解説してみます。
まず、ホールでは、その日の割り数(利益率)や、大当たりの発生する時間帯等、経営方針に沿ったデーターがメインコンピューターで設定されます。たとえば、イベント日などでは、早い時間帯での当たりや、当たり信号の回数を増やしたりできるわけです。このことは、ホルコンメーカーの取り扱い説明書にも記述してあることを確認しています。
まず、メインコンピューターから各島コンピューターに「1当たり周期信号が送信」されます。これは、遠隔操作ですが、特定の台への操作ではなく、島コンピューターのグループ内の不特定多数の台に送られているとみなされ、違法にはなりません。
(島=列や機種別に構成されているグループ)
次に、「当たり周期発生信号」を受けた島コンピューターでは、そのグループのどの台に当たり周期発生信号を送るのかを「2当たり台の抽選」をします。1台を抽選する場合と複数の台を同時に抽選することもあります。島の2〜3台が同じ時間帯にほぼ同時に大当たりすることがあるのはこの現象です。
たとえば、今回は、島コンピューターで「遊戯台A」と「遊戯台C」が抽選され「3当たり周期発生信号」が、2台に向けて送信」されたとします。ここで、すぐにこの2台が大当たりをするわけではありません。「遊戯台A」と「遊戯台C」の副基盤はその信号を受け取ると、当たりを決める副基盤にある大当たり抽選機能が隠れ確変状態になり、大当たりし易くなります。解りやすくするために。副基盤にある大当たり抽選機能を電子ルーレットに置き換えて説明すると、この電子ルーレトの当たりの幅が広がり、通常300〜400分の1の「4大当たり確率が通常時の約10分の1に変動」し、当たり易い状態(=隠れ確変状態)になります。同時に同じ副基盤内に「5抽選ロム同士の同期」が起こり、「6リーチ・演出・予告の抽選ロム」が好調になり、熱い予告やスーパーリーチなどの熱いリーチ演出や抽選されやすい状態になります。リーチにならない場合でも特殊な図柄や出目等が出現しやすくなります。
こんな現象が、本当にあるのか疑問に思われるかもしれませんが、大当たり後の確率変動中には、副基盤から出てくるほとんどのリーチがスーパーリーチになり、予告も熱い演出が多く出現しますので、これは、充分可能なわけです。
このような、確率変動状態(=隠れ確変)になると、6を飛ばしてすぐに、7大当たりがくる場合もありますが、通常は、副基盤の演出で「6スーパーリーチやや特殊な演出が出現」し易い状態になります。
その後、副基盤が隠れ確率変動状態のまま続いて、4大当たり抽選)のルーレットの大当たりに入賞すれば、遊戯台Aのように、「7初期大当たり」をします。しかし、いくら確率が上がっても、運悪く玉が主基盤のルーレットの大当たりに入賞していない場合は、熱いスーパーリーチ等が来ても、プッシュボタンを連打しようと台を叩いても、大当たりは来ないわけです。
前項では、ホルコンからの大当たり理論を述べましたが、ホルコンに繋がっていないパチンコ台は当たりが来ないのでしょうか?
以前ホルコンに繋がっていない実機でも相当な検証も実施しました。その結果は、実機においても大連チャンもあり、大当たりの偏りやハマリの周期も確認されました。ただ、ホールのような「お座り一発」はほとんどなく、ホルコンから送られてくる信号が存在しないため、大当たりまでの時間はかかるようですが、1ヶ月くらいの長い期間の確率はほぼ同じでした。
これらの現象は何を意味するのでしょうか。それは、パチンコ台の機器自身にも「当たり周期信号」の発生のメカニズムがあり、コンピューターが初期当たり確率を収束させているということです。副基盤が好調周期で当たり易い状態から当たった場合は、連チャンする傾向があります。
しかし、突然「大当たり」する現象の中には、当たり易い状態ではない通常の状態の時に、全く偶然にスタートチャッカーを通過した玉が、大当たりの乱数を引いて大当たりしたと考えられる現象も確認されました。このように、好調周期以外で当たった場合は、単発当たりが多く連チャンしない傾向があります。1000回転を超える大ハマリ台が当たっても連荘せずにまた大ハマリすることが多いのはこの現象です。また、ホールで遊戯時に不調と判断して離れた台が他人にハイエナされた場合、単発で終わる場合がほとんどなのは、そのためだと考えられます。不調と判断した場合は、ハイエナを恐れず台を移動するか、休憩をとるなどして、次の当たり信号を待つ方法が得策です。
これらの現象から、パチンコ台には以下の3通りの当たり方が考えられます。
大当たりが決定されるのは、スタートチャッカーに玉が入賞したときに取得した乱数が、副基盤の「大当たり抽選ロム」に送られ、その乱数が大当たりと抽選された瞬間に決まることはお分りいただけたと思います。しかし、最近の機種は、そのしくみが複雑になってきています。当然のことですが、メーカーは、そのしくみを公表している訳ではありませんが、そのしくみをホールでの検証を基に説明します。
例として、1/359.5タイプのパチンコ台ですと、乱数の合計は整数ですので、分母と分子が整数になるよう2をかけて、2/719となり、主基盤に発生する乱数は、719個の整数倍が存在し、当たり乱数が2個の整数倍のあることになります。
今回は、説明を解り易くするため最小公倍数719個の乱数があり、その中の2個が大当たりとして、通常時に大当りを引くしくみを説明します。
たとえば乱数が1番から719番までの数字とした場合、主基盤では、719個の乱数がランダムに発生しています。たとえば、通常時(低確率時)の大当たり乱数が1番と2番とします。(図2)の「2乱数取得」で1番の乱数を拾ったとします。その信号は、副基盤に送られ「3高確率時or低確率時の選択」で低確率時と選択され、4の低確率時の「大当り抽選ロム」に送られます。この時、「大当り抽選ロム」の中にある「当たり乱数照合版」の中の2個の数字の中に主基盤で引いた1番の乱数があれば大当たりと判定されるわけです。
しかし、パチンコは、すべて完全確率ですので、この4の低確率時(1/359.5)の抽選で大当たりの乱数を引くことは、よほどの強運でない限り、めったに起こらないわけです。
運の悪い時は、初期当たり確率の3倍以上の1000回転ハマリも4〜5%起こるわけです。
一度確変当たりやST当たりを引いた場合は、通常時と違い、高確率時になっているため、早い回転数で大当たりが来ます。主基盤は、確変中も通常時と同じようにランダムに乱数を引いているのになぜこのような現象が起きるのでしょうか。それは、副基盤の抽選ロムに変化が起きているからです。確変中やST中の場合の大当たりの抽選は、副基盤の「4大当たり抽選確率が変動」した状態の通常時の約10分の1にの高確率で行われます。この時、下図の「当たり乱数照合版」では通常時の10倍の20個の数字が表れていて、その中に主基盤で引いた1個の乱数と同じ数字があれば大当たりになるわけです。
ですから、大当たり確率は10倍の1/35.9の高確率になり、当り易くなっているわけです。たとえば、確変中やST中に主基盤で6番の乱数を取得したとします。この6番は、通常時では「当たり乱数照合版」にはありませんので大当たりとは判定されません。しかし、確変当たりやST当たりを引いた次の回転以降は、保留も含め高確率状態となり、高確率時の「当たり乱数照合表」で判定されますので、10倍の20個の数字と照合され、その中に6番の数字があれば大当たりと判定されるわけです。
ここで、重要なことは、決して高確率時に主基盤の乱数が増えたり、偏った抽選がされるのではなく、あくまで主基盤では、初期当たりの1/350.9の確率で1個の乱数がランダムに抽選されているだけです。この主基盤の「乱数取得ロム」は特殊シールで封印してあり、外部から手を加えたり、信号を送ることは規制があり違法になり、また物理的にも出来ません。これは、ホルコンメーカーが特許として登録していることからもうかがえます。
しかし、副基盤の「大当り抽選ロム」のプログラムは、主基盤と違い、メーカーは、規制に触れない範囲で意識的に連荘の偏りを作るためのプログラムを組み込むことが可能なわけです。これは、ホルコンメーカーが特許として登録していることからもうかがえます。主基盤に同じ1/350.9の認定品のロムを採用していても、機種やメーカーによって副基盤で演出を変えたり、偏りを作り出すことができる訳です。(いわば、メーカーのやりたい放題なのです。)また、この大当たり決定時には確変当たりか単発当たりなのかは、まだ決まっていません。それを決めるのも、副基盤の同じロム内にあります。つまり、大連チャンや、単発当たり演出も、この副基盤のプログラムで作り出されている訳なのです。
この副基盤の「大当り抽選ロム」が、大当りや連チャンを決定する一番重要な部分です。連荘による大当りの偏りを、店の割り数(利益率)の確率に収束させるのには、偶然性にまかせていても修正出来ませんが、このロムが、意図的に好調周期や不調周期を作り出したり、確変当たりと通常当たりのパランスをとり、大連荘を作り出しながら、同時にその偏りを修正するために大ハマリも作りながら確率に収束して、軌道修正をするようにプログラムされている訳です。それは宇宙ロケットが、とてつもない距離の火星に向かう為に、コンピューターで軌道修正する技術より優れた機能を持っていると言われています。
また、この「抽選ロム」は、2章では説明を解り易くするために、ルーレットに例えてありますが、実際にロムが回転している訳ではなく、玉が入るたびに乱数が発生していますので、当たり乱数の発生するタイミングを狙って直撃したり、体感機で周期をとることは現在の機種では出来なくなっているわけです。
スタートチャッカーに玉が入ると、センサーが感知して信号が主基盤の乱数取得ロムに送られます。
大当たりの乱数を取得します。その乱数信号を副基盤の高確率中または低確率中かの判定に送ります。
低確率中(主に通常時)に大当たりの乱数を取得した場合は、信号を低確率の大当たり抽選ロムへ、高確率中(確変中やST中など)は高確率の大当たり抽選ロムへ乱数信号を送ります。
送られてきた乱数が大当たりかハズレかが、ここで決定します。その後リーチ変動抽選ロムへ送ら れます。大当たりが決定された場合は確変・時短の抽選を経由します。
(STタイプのミドル機や遊パチの場合は確変がありませんので、そのままST当たりが判定され、 ラウンド数が抽選されます。また、ギ確変がない機種は確変・時短がないのでここを経由しません。) リーチ変動抽選に進みます。
ここでは、リーチの演出が抽選されます。高確率時にはスーパーリーチが約7割抽選され、逆に低 確率時にはノーマルリーチが7割抽選されるように抽選プログラムが変化するようになっています。
ここでは、リーチ変動の抽選で選ばれたリーチ演出に合わせたリーチ予告が選択抽選されます。
リーチが来て大当たりにならない場合も、偶然に画面上で外れ位置が決まるのではなく、どの位置で3つの図柄が止まるのかも「止まり位置抽選に」より決まります。リーチの場合は、同じ図柄が枠内の上段と下段にセットで選ばれリーチの形で止まります。当たりの場合は上段、下段、中段が同図柄で並ぶようにセットで選ばれます。
大当たりの演出や内容が決定します。 はずれの場合は「ハズレ並び」へ進みます。 (確変当たりが選ばれている場合、普通図柄当たりは確変昇格演出が加わります)